中古マンションを自分で住むために買う場合、不動産取得税は0円になることが多く、投資用や法人名義で買うと数十万円の請求が届きます。
差を生むのは、建物の控除額と、土地にかかる減額の2つです。
しかも税率3%と土地の評価額を2分の1にする特例は、2027年3月31日までの取得が対象です。
この記事では、実務でよく聞かれる「請求書が来る前に、いくらかかるのか」を、数字で整理します。
■ 30秒で分かる結論
・計算は建物と土地を別々に行い、建物は評価額から控除額を引いて3%、土地は評価額の2分の1に3%をかけて減額を引く
・新築が1997年4月以降の中古住宅なら控除額は1,200万円。評価額900万円の建物は0円になる
・評価額1,800万円の土地でも、減額が上回って0円になる計算例がある。自分で住むなら全体で0円
・投資用や法人名義は控除が使えず、同じ物件で54.0万円。特例が終われば108.0万円の計算になる
・軽減は申告が前提。取得から30日以内に申告し、納税通知書は取得後半年から1年半ほどで届く
中古マンションの不動産取得税は、どう計算するのか
不動産取得税は、買ったときに一度だけ都道府県に納める税金で、固定資産税評価額をもとに建物と土地を別々に計算します。
売買価格にかかるのではなく、市区町村が決めた評価額が基準になる点は、固定資産税と同じです。
評価額は売買価格よりかなり低く、7,000万円(70㎡、坪単価約331万円)の物件でも、建物と土地を合わせて2,700万円ほどという例は珍しくありません。
東京都主税局の案内では、2027年3月31日までの取得なら、土地と住宅の税率は本則の4%ではなく3%です。
さらに宅地の評価額には2分の1をかけて、課税の対象額を下げます。
住宅以外の建物は、この期間でも4%のままです。
土地の減額は、次のAとBのうち多い方の金額です。
Aは45,000円で、Bは「土地1㎡あたりの評価額×1/2×課税床面積の2倍(200㎡まで)×3%」です。
課税床面積は、専有部分に共用部分を持分で加えた面積で、マンションは小さくなりやすく、Bの面積は1戸あたり数十㎡から百数十㎡にとどまります。
自分で住むなら、なぜ0円になることが多いのか
自分で住むために築年が新しめの中古マンションを買うなら、建物の控除額が評価額を上回り、土地も減額で打ち消されて、不動産取得税が0円になることが多くなります。
次の前提で計算します。
築12年のマンション、専有70㎡(課税床面積70㎡)、建物の評価額900万円、土地の評価額1,800万円、土地の持分は40㎡です。
売買価格は7,000万円で、70㎡で坪単価に直すと約331万円になります。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 建物の課税標準 | 900万円 − 控除1,200万円 | 0円(マイナスは0) |
| 土地:税額 | 1,800万円×1/2×3% | 27.0万円 |
| 土地:減額B | (1,800万円÷40㎡)×1/2×140㎡×3% | 94.5万円 |
| 土地:減額の採用額 | Aの4.5万円とBの多い方 | 94.5万円 |
| 不動産取得税の合計 | 27.0万円 − 94.5万円(マイナスは0) | 0円 |
この結果だけを見ると「ほぼ誰でも0円」と感じますが、そうでない場合もあります。
減額Bは課税床面積に比例するため、面積が小さい物件や、土地の評価額が高い都心の物件ほど、土地の税額が減額を上回って残りやすくなります。
たとえば土地の持分が小さくて評価額が高い物件では、土地分が数万円残ることもあります。
0円になる計算には、次の要件があります。
・取得する人が自分で居住する住宅であること(個人が取得)
・床面積が40㎡以上240㎡以下であること(2026年4月1日以降の取得。それ以前は50㎡以上)
・1982年1月1日以降に新築されたこと。それ以前なら、取得前2年以内に耐震基準適合の証明を受けたこと
・軽減の申告書を出すこと。自動では適用されない
床面積は、登記簿の面積ではなく現況で判定され、共用部分を専有部分の割合で按分した面積も含めます。
40㎡前後のコンパクトな物件は、登記簿上は40㎡を切っても共用部分を含めると超える場合があります。
一方で、東京23区の一部の区域では50㎡の要件が残るとする解説もあるため、50㎡未満の物件は、買う前に管轄の都税事務所へ確認してください。
購入時の現金の全体像は中古マンション購入の諸費用で整理しています。
不動産取得税は諸費用には入らず、後から請求が来る税金なので、資金計画では別枠で見ておく必要があります。
築年次で控除額はどう変わるのか
中古住宅の控除額は、築年数ではなく新築された時期で決まり、1997年4月以降の新築なら1,200万円、1989年4月から1997年3月なら1,000万円です。
1989年3月以前の新築は450万円以下まで下がります。
東京都主税局の区分は図3のとおりです。
築年次が古いと、建物の評価額も下がるので、控除が小さくても税額は小さくなりやすい傾向にあります。
たとえば1983年新築で控除額420万円、建物の評価額が500万円なら、建物分は(500万円−420万円)×3%で2.4万円です。
土地分を先ほどと同じ条件で0円とすると、合計は2.4万円にとどまります。
気をつけたいのは、1981年12月以前に新築された旧耐震のマンションです。
控除を受けるには、取得前2年以内の耐震基準適合の証明が要り、取得後に耐震改修をする場合は、取得から6か月以内に改修・証明・入居を終える必要があります。
控除の金額は小さく、住宅ローン控除や登録免許税の軽減も使いにくくなります。
旧耐震の判断については旧耐震マンションは買っていいかで詳しく扱っています。
投資用・法人名義・セカンドハウスは課税される
自分で住まない目的で買うと、中古住宅の控除と土地の減額が使えず、同じ物件でも不動産取得税が数十万円かかります。
投資用に貸す場合、法人名義で買う場合、住まずに持つセカンドハウスのように、居住の要件を満たさないケースです。
先ほどの物件を投資用に買ったときの計算は次のとおりです。
建物は900万円×3%で27.0万円、土地は1,800万円×1/2×3%で27.0万円なので、合計は54.0万円です。
自分で住む場合の0円との差は54.0万円になります。
物件の利回りを計算するときは、この54.0万円も取得コストに入れておかないと、実質利回りを高く見積もってしまいます。
図4の108.0万円は、3%の税率と土地の2分の1が使えない本則の計算で、建物900万円×4%=36.0万円、土地1,800万円×4%=72.0万円を足した数字です。
これは仮の比較で、実際に期限後どうなるかは決まっていません。
2027年3月31日を過ぎる取得では、延長されるかどうかを税制改正の内容で確認する必要があります。
投資用や法人名義で買う予定があれば、引渡し日を期限内に収められるかどうかが、費用に直結します。
法人購入の税金や融資の違いは法人名義でマンションを買うべきかで比べています。
勘違いされやすい点があります。
・賃貸に出す予定がなくても、取得時に誰も住んでいなければ居住用の要件を満たさない
・親族から生前贈与を受けた場合は課税される。相続による取得は非課税
・住む予定が変わりそうな場合は、取得前に都税事務所へ確認しておく
申告と納付の流れと、売るときに効く視点
軽減を受けるには、取得から30日以内に都税事務所へ申告書を出します。
登記を30日以内に申請していれば、原則として申告そのものは不要です。
ただし軽減を受ける場合は、申告書に必要書類をつけて提出する必要があります。
納税通知書が届くのは取得から半年から1年半ほど後で、東京都は毎月7日前後に発送し、納期限は原則として発送月の月末です。
納税通知書が届く頃には、取得したことを忘れている方も多く、急に数十万円の請求が来て驚くケースを見ます。
自分で住むのに通知書が届いた場合は、軽減の申告が漏れている可能性があるので、納付する前に都税事務所へ連絡してください。
免税点も2026年4月に引き上げられました。
2026年4月1日以降の取得では、土地は16万円未満、売買などで取得した家屋は34万円未満の税額なら課税されません。
先ほど計算した2.4万円のように、少額の税額はそもそも課税されないこともあります。
申告の前に確認しておくもの
・売買契約書と登記簿の新築年月日(控除額の判定に使う)
・固定資産税の課税明細書(建物・土地の評価額を確認する)
・耐震基準適合を証明する書類(1981年12月以前の新築の場合)
・住民票(住所を移した後に提出する場合)
売るときの視点では、取得税はどう効くのか
不動産取得税は買主が払う税金で、売主の手取りには直接関係しませんが、売りやすさには間接的に効いてきます。
築年が新しくて面積が40㎡以上あれば、自分で住む買主はほぼ0円で買えます。
逆に旧耐震や小さい面積の物件は、控除が小さかったり使えなかったりして、買主の実負担が増えます。
出口から逆算すると、買うときの資産性の判断に、「次の買主が使える特例の範囲に入っているか」も加えられます。
1982年以降の新築、40㎡以上、住宅ローン控除の対象という条件がそろうと、買い手の幅が広がります。
売却の際には、買主が投資家なのか自分で住む人なのかで、税負担の差が最大数十万円になるため、買い手の見込みを考えて価格を設計します。
固定資産税などの保有コストはマンションの固定資産税で整理しています。
税務の取り扱いは、物件や取得者の状況によって変わります。
個別の判断は、管轄の都税事務所や税理士にご相談ください。
購入予定の物件で計算を知りたい場合は、購入シミュレーターや、代表の南和希のプロフィールからの相談もお使いください。
よくある質問
中古マンションの不動産取得税はいくらですか
自分で住む築年の新しい物件なら、控除と減額で0円になることが多いです。
投資用では、評価額が建物900万円・土地1,800万円の例で54.0万円です。
不動産取得税はいつ請求されますか
取得後およそ半年から1年半ほどで納税通知書が届きます。
東京都の納期限は、発送月の月末が原則です。
軽減の申告をしないとどうなりますか
軽減が適用されず、請求が届く可能性があります。
届いたら、納付の前に都税事務所へ相談してください。
相続でマンションを取得した場合は課税されますか
相続による取得は非課税です。
生前贈与や相続時精算課税による取得は課税の対象です。
3%の税率はいつまでですか
東京都主税局の案内では、2027年3月31日までの取得です。
その後の扱いは、税制改正の内容を確認してください。
まとめ
不動産取得税の確認事項
・自分で住む1997年4月以降の新築の中古は、控除1,200万円で建物分が0円になりやすい
・土地は評価額の2分の1に3%をかけ、減額を引く。結果が0円になる例が多い
・投資用・法人名義は控除が使えず、評価額900万円・1,800万円の例で54.0万円
・3%と土地の2分の1は2027年3月31日まで。軽減は申告が前提
不動産取得税は、買った後に忘れた頃に届く税金です。
目的が居住なのか投資なのかで金額が大きく変わるため、買う前に自分のケースを一度計算しておくことをお勧めします。

