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購入編

売主が個人か不動産会社かで何が変わるか——契約不適合責任・消費税・仲介手数料の違い

売主が個人か不動産会社かで何が変わるか——契約不適合責任・消費税・仲介手数料の違い
この記事の監修者
南 和希
株式会社スピアード 代表取締役
宅地建物取引士 / 2級FP技能士

1999年、神奈川県横浜市生まれ。
新卒で大手不動産会社に入社後、営業部内トップセールスを達成。
3年の実績を経て独立し、株式会社スピアードを設立。
代表プロフィールを見る →

売買仲介・投資用不動産・中古不動産の仕入れ再販・リノベーションなど、不動産業界の幅広い領域で実務経験を持つ。
自身でも不動産の購入を3回、売却を2回、リノベーションを1回経験した実践派。
現在はメディア取材・自社サービスが計6媒体に掲載されている。

中古マンションは、同じ建物の同じような部屋でも、売主が個人か不動産会社かで買主の条件が変わります。
違いは、契約不適合責任の期間、消費税、仲介手数料、価格交渉の進め方の4つです。
物件を比べるときは、価格だけでなくこの4つをお金に換算して比べてください。

■ 30秒で分かる結論
 ・業者売主は契約不適合責任の通知期間を引渡しから2年未満にできない。個人売主は短縮や免責の特約が有効
 ・業者売主の物件は建物部分に消費税がかかる。個人が自宅を売る場合はかからない
 ・売主の会社から直接買えば仲介手数料はかからない。仲介会社が入れば発生する
 ・保証の差と価格の差を、同じ物差しで比べて判断する


個人売主と業者売主の違いは何か

最も大きな違いは、引渡し後に不具合が見つかったときに売主が負う責任の範囲です。
次の表が、買主から見た主な違いです。

項目個人が売主不動産会社が売主
契約不適合責任特約で期間の短縮や免責ができる通知期間を引渡しから2年未満とする特約など、民法より買主に不利な特約は無効
消費税かからない(自宅の売却は事業にあたらない)建物部分に10%(価格に含まれる)
仲介手数料仲介会社を通すのが一般的で、手数料がかかる売主から直接買えばかからない
室内の状態住んでいたままの状態が多い改装済みが多い
価格交渉売主の事情(住み替え時期など)で決まる保有期間と販売期間で決まる

契約不適合責任は何年守られるか

業者売主は特約で短くできても引渡しから2年まで、個人売主は契約の特約しだいです。
民法の原則では、買主は不具合を知った時から1年以内に売主へ通知すれば、修補や代金減額などを請求できます。
ただし個人売主の場合は、この原則を特約で変えることができます。

業界団体の標準的な契約書式の一例では、個人売主の責任を引渡しから3か月以内の通知に限り、対象となる不具合の種類も限定する形になっています。
築年数の古い物件では、売主が責任を負わない「免責」とする契約もあります。
宅建業法40条により、業者売主の場合は、引渡しから2年以上とする特約を除いて民法より買主に不利な特約は無効になるため、こうした短縮や免責はできません。

個人売主でも、売主が知りながら告げなかった不具合については、免責の特約があっても責任を免れません(民法572条)。
ただし、それを証明するのは簡単ではありません。
個人売主の物件ほど、契約前の内見と書類の確認が重要です。

出典:宅地建物取引業法40条・78条2項、民法566条・572条(e-Gov法令検索)、不動産流通推進センター研究論文(標準書式の記載内容)

消費税はいくらかかるか

業者売主の物件では、販売価格のうち建物部分に10%の消費税が含まれます。
土地は非課税で、土地と建物の代金が分かれていない場合は時価の比率で按分します。
例えば建物部分が税抜2,800万円なら、消費税は280万円で、その分が価格に乗っています。

個人が自宅を売る場合は、事業としての資産の譲渡にあたらないため、消費税はかかりません。
同じ建物で同じ条件の部屋が並んでいるとき、業者売主の物件が高く見えるのは、改装費と利益に加えてこの消費税があるためです。

出典:国税庁タックスアンサーNo.6105・No.6201、消費税法施行令45条3項

仲介手数料はかかるか

売主の不動産会社から直接買えば、仲介手数料はかかりません。
業者売主の物件でも、別の仲介会社を通して買う場合は、その仲介会社に手数料を払います。
売買価格が400万円を超える場合の上限は「価格×3%+6万円」に消費税を加えた額で、7,000万円の物件なら237万6,000円です。

仲介手数料がかからないことは、業者売主の物件を選ぶ理由のひとつになります。
ただし、仲介会社は買主の立場で価格の妥当性や契約条件を確認する役割を持っています。
手数料の有無だけで決めず、価格と条件を誰が確認するかも考えてください。


どちらを選ぶべきか、判断の手順は

保証の差と価格の差を、同じ物差しで比べて判断します。
手順は次の3つです。

1
同じ建物の成約坪単価で並べる

個人売主の物件と業者売主の物件を、70㎡換算の坪単価で並べます。差額が改装費と消費税でどれだけ説明できるかを見ます。

2
保証の差をお金で見る

個人売主の物件で設備や配管に不具合が出た場合の修理費を、築年数と室内の状態から見積もります。その額と価格差を比べます。

3
出口の価格で見る

将来売るときの価格は、売主が誰だったかでは決まりません。立地と建物で決まります。購入時の上乗せ分を、出口で回収できるかを最後に確認します。


よくある質問

売主が個人か業者かはどこで分かりますか

広告の取引態様に「売主」と書かれていれば、その会社が売主です。「仲介」「媒介」とあれば売主は別におり、個人の場合が多くなります。

個人売主の物件で契約不適合責任が免責だと危険ですか

危険とは限りませんが、修理費は買主の負担になります。築年数と配管の交換履歴を確認し、修理費を見込んだ価格で判断します。

業者売主でも保証が2年より短いと言われたら

買主が宅建業者でない場合、引渡しから2年より短い期間の特約は宅建業法40条で無効です。契約書の条項を確認してください。

業者売主の物件の消費税は別に払うのですか

別には払いません。広告の価格は消費税込みの総額で表示されています。

結論:価格差を「保証・税・手数料」に分解して比べる

売主の違いで確認すること

・取引態様は「売主」か「仲介」か

・契約不適合責任の期間と対象

・価格に含まれる消費税の額

・仲介手数料がかかるか

・同じ建物の成約坪単価との差額

個人売主の物件は安く、業者売主の物件は守られている、というのが基本の構図です。
どちらが得かは物件ごとの数字で決まるので、価格差を分解してから判断してください。
候補物件の比較は、成約事例と契約条件まで含めて個別にお手伝いします。

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