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購入編

中古マンション購入の諸費用はいくら?現金で用意すべき額の目安

中古マンション購入の諸費用はいくら?現金で用意すべき額の目安
この記事の監修者
南 和希
株式会社スピアード 代表取締役
宅地建物取引士 / 2級FP技能士

1999年、神奈川県横浜市生まれ。
新卒で大手不動産会社に入社後、営業部内トップセールスを達成。
3年の実績を経て独立し、株式会社スピアードを設立。
代表プロフィールを見る →

売買仲介・投資用不動産・中古不動産の仕入れ再販・リノベーションなど、不動産業界の幅広い領域で実務経験を持つ。
自身でも不動産の購入を3回、売却を2回、リノベーションを1回経験した実践派。
現在はメディア取材・自社サービスが計6媒体に掲載されている。

中古マンションを買うとき、物件価格とは別に必ずかかるのが諸費用です。
結論から言うと、目安は物件価格の6〜8%。
7,000万円の物件なら、およそ450万〜560万円を現金で用意する前提で資金計画を組んでください。

「頭金ゼロ・フルローンで買えます」という営業トークを聞いたことがあるかもしれません。
フルローンは物件価格の話であって、諸費用まで消えるわけではありません。
この差を知らずに契約まで進み、決済直前に慌てるケースを実務で何度も見てきました。

■ 30秒で分かる結論
 ・諸費用の目安は物件価格の6〜8%。最大の項目は仲介手数料と融資事務手数料
 ・7,000万円の物件・借入6,300万円のモデルケースで約450万円(6.4%)
 ・削れる項目は「融資手数料の方式」と「保険」。税金と登記費用はほぼ削れない
 ・仲介手数料や登記費用は、将来売るときの取得費になる。領収書は必ず保管する


諸費用の内訳は8項目。モデルケースで約450万円

まずは全体像です。
物件価格7,000万円、借入6,300万円(物件価格の9割)、融資事務手数料が借入額の2.2%の銀行を使った場合で試算しました。

項目金額計算の根拠
仲介手数料237.6万円(7,000万円×3%+6万円)+消費税
融資事務手数料138.6万円借入6,300万円×2.2%
登録免許税21.9万円土地1.5%・建物0.3%(評価額)、抵当権0.1%(借入額)
火災・地震保険20.0万円補償内容と期間で大きく変わる
司法書士報酬13.0万円所有権移転と抵当権設定の登記
固定資産税・管理費等の精算10.0万円引渡し日以降の分を売主に支払う
印紙税(金銭消費貸借契約書)6.0万円電子契約なら0円
印紙税(売買契約書)3.0万円5,000万円超1億円以下の軽減税率
合計約450万円物件価格の6.4%

登録免許税は、土地の固定資産税評価額800万円・建物1,200万円と仮定して計算しています。
評価額は物件ごとに違うので、正確な金額は売主から固定資産税の評価証明書を取り寄せてから確定させます。

諸費用の内訳(物件7,000万円・借入6,300万円) 仲介手数料 237.6万 融資事務手数料 138.6万 登録免許税 21.9万 火災・地震保険 20.0万 司法書士報酬 13.0万 固定資産税等の精算 10.0万 印紙税(2通) 9.0万 合計 約450万円(物件価格の6.4%) 紺=仲介・融資関連、金=税金、グレー=その他。不動産取得税は別途(後日納付)
仲介手数料と融資事務手数料の2つで、諸費用全体の8割を占める。

見ての通り、諸費用の8割は仲介手数料と融資事務手数料の2つです。
税金や登記費用は、物件が決まればほぼ自動的に決まります。
諸費用を最適化したいなら、この2つの大きな項目から考えるのが筋です。


仲介手数料:上限は「3%+6万円+税」

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額です。
7,000万円なら237万6,000円になります。
これは法律で決まった上限であり、下限ではありません。
スピアードでは、この上限額から10%割引いた金額で仲介をお受けしています(7,000万円なら213万8,400円)。

ただ、手数料の安さだけで仲介会社を選ぶのはおすすめしません。
分かりやすいのは売却のケースです。
売り出し価格の設計、写真や広告の質、内見対応、買主との価格交渉まで、仲介会社の仕事の質がそのまま成約価格に効いてきます。
手数料を100万円値切るより、200万円高く売ってくれる担当者を選ぶほうが、結果的に得をします。

融資事務手数料:「定率型」か「保証料型」かで100万円変わる

住宅ローンの手数料は、大きく分けて2つの方式があります。
借入額の2.2%前後を最初に払う「事務手数料(定率)型」と、事務手数料を数万円に抑える代わりに保証料を払う「保証料型」です。
保証料型は、保証料を金利に上乗せして毎月払うこともできます。

どちらが得かは、借入期間と売却時期で決まります。
定率型の手数料は、途中で完済しても戻りません。
一方、保証料を一括で払った場合は、繰上完済時に未経過分の一部が戻るのが一般的です。
5〜10年で住み替える可能性が高いなら、定率型の2.2%を最初に払うのが本当に得なのか、必ず比較してください。
銀行選びの考え方は、別コラム「住宅ローンの賢い選び方」でも詳しく扱っています。

登録免許税と印紙税:軽減措置の要件と期限を確認する

登録免許税は、所有権移転と抵当権設定の登記にかかる国税です。
自分が住む家で、登記上の床面積が50㎡以上などの要件を満たせば、建物の所有権移転は本則2%が0.3%に、抵当権設定は本則0.4%が0.1%に下がります。
建物と抵当権の軽減は2027年3月31日まで、土地の1.5%は2029年3月31日までの措置です。

落とし穴:登記床面積の「50㎡」は壁芯ではなく内法

マンションの登記簿に載る床面積は、壁の内側で測る内法面積です。
広告の専有面積(壁芯)が52㎡でも、登記上は49㎡台というケースがあります。
この場合、登録免許税の軽減は使えず、住宅ローン控除の面積要件にも影響します。
50㎡前後の物件は、契約前に必ず登記簿の面積を確認してください。

印紙税は、売買契約書と金銭消費貸借契約書(ローン契約書)に貼る税金です。
売買契約書は2027年3月31日まで軽減税率が適用され、5,000万円超1億円以下なら3万円です。
ローン契約書に軽減はなく、同じ価格帯で6万円かかりますが、銀行が電子契約に対応していれば0円になります。

出典:国税庁「登録免許税の税額表」/「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
参考:三井のリハウス「2026年(令和8年)度 税金の手引き 登録免許税」
https://www.rehouse.co.jp/mtebiki/05.html

見落としやすい費用:不動産取得税は「数か月後」に届く

不動産取得税は、引渡しから数か月後に都道府県から納税通知書が届きます。
決済日に払う諸費用の一覧には載らないため、忘れた頃に請求が来て驚く方が多い税金です。

中古マンションは、築年数と評価額に応じた控除があるため、0円で済むことも珍しくありません。
一方で、築年数が古い物件や評価額の高い物件では数十万円になることもあります。
購入前に仲介会社に概算を出してもらい、資金計画に入れておくのが安全です。

このほか、引越し費用、家具・家電、カーテン、リフォーム費用は諸費用の外側です。
特に中古マンションは、入居前にクロスや水回りを手直しするケースが多いので、別枠で予算を取っておいてください。


出口から逆算する:諸費用は「売るとき」に取り返せる部分がある

諸費用は払って終わりのお金ではありません。
将来その物件を売ったとき、仲介手数料、所有権移転の登記費用、売買契約書の印紙税、不動産取得税などは、購入代金と合わせて「取得費」として計上できます。
取得費が大きいほど譲渡所得が小さくなり、税金が減ります。

一方、融資事務手数料や抵当権設定の費用、保証料、火災保険料といったローン・保険関連の費用は取得費に入りません。
つまり同じ100万円でも、仲介手数料は売却時に効き、ローン手数料は効かないということです。

実務でやるべきこと

・売買契約書、重要事項説明書、精算書、仲介手数料と司法書士の領収書を1つのファイルにまとめて保管する

・不動産取得税の納税通知書と領収書も同じファイルに入れる

・10年後、20年後に売るときに取得費を証明できないと、売却価格の5%しか取得費として認められない(概算取得費)

売却時の税金の仕組みは、別コラム「不動産売却にかかる税金」で整理しています。
買う瞬間から売る瞬間までを一本の線で考えると、どの費用を削り、どの書類を残すべきかがはっきりします。


結論:自己資金は「頭金+諸費用+生活防衛資金」で考える

資金計画の組み立て方

・諸費用は物件価格の6〜8%。7,000万円なら450万〜560万円

・削るなら融資手数料の方式と保険。税金と登記費用はほぼ削れない

・不動産取得税、引越し、リフォームは別枠で確保する

・手元には最低でも生活費の6か月分を残す

フルローンで買うこと自体は悪い選択ではありません。
低い金利で借りて手元資金を厚く持つのは、合理的な戦略です。
ただし、それは諸費用を正確に把握し、手元資金を残せる計画になっている場合に限ります。
物件探しを始める前に、まず「現金でいくら出せるか」を確定させてください。
そこが決まれば、狙うべき価格帯も自然に決まります。

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