マンションを持つと、毎年必ずかかるのが固定資産税と都市計画税です。
住宅ローンや管理費ほど意識されませんが、30年持てば数百万円から1,000万円近くになる固定費です。
結論から言うと、都内の一般的なマンションなら年20万〜40万円程度が目安で、新築の場合は6年目に上がることを前提に資金計画を組む必要があります。
■ 30秒で分かる結論
・税額は「固定資産税評価額×1.4%」+「都市計画税(上限0.3%)」が基本
・土地は住宅用地の特例で、固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税が3分の1になる
・新築マンションは建物の固定資産税が5年間2分の1。6年目に上がる
・高さ60m超のタワマンは、上の階ほど税額が高くなる補正がある(40階は1階の1.1倍)
計算の仕組み:評価額×税率、土地には特例がある
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
税額は、市区町村(東京23区は都)が決める「固定資産税評価額」に税率をかけて計算します。
評価額は、売買価格ではなく、建物は再建築費、土地は公示地価の7割程度を基準に算定されるため、実際の価格よりかなり低くなります。
| 税金 | 税率 | 土地の住宅用地特例(200㎡以下の部分) |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 1.4%(標準税率) | 課税標準が6分の1 |
| 都市計画税 | 上限0.3% | 課税標準が3分の1 |
マンションの土地は、敷地全体を区分所有者で持分に応じて分け合っています。
1戸あたりの土地の面積は小さく、ほぼすべてが200㎡以下の「小規模住宅用地」に当たります。
そのため、マンションの税額の大部分は建物部分が占めます。
試算:建物評価額1,500万円・土地評価額1,500万円の場合
都内の中古マンションで、建物と土地の評価額がそれぞれ1,500万円のケースで計算します。
| 項目 | 計算 | 年税額 |
|---|---|---|
| 建物:固定資産税 | 1,500万円×1.4% | 21.0万円 |
| 建物:都市計画税 | 1,500万円×0.3% | 4.5万円 |
| 土地:固定資産税 | 1,500万円×1/6×1.4% | 3.5万円 |
| 土地:都市計画税 | 1,500万円×1/3×0.3% | 1.5万円 |
| 合計 | 約30.5万円 |
実際の土地の課税標準は、負担調整措置の影響で評価額どおりにならないことがあります。
正確な金額は、売主から直近の課税明細書を見せてもらうのが確実です。
購入時には、引渡し日以降の分をこの税額から日割りで計算し、売主に精算金として支払います。
新築マンションは「6年目」に上がる
新築住宅には、建物の固定資産税を一定期間2分の1にする減額措置があります。
3階建て以上の耐火・準耐火建築物であるマンションは、その期間が5年間です。
減額の対象は床面積120㎡までの部分で、都市計画税と土地は対象外です。
先ほどの試算に当てはめると、建物の固定資産税21.0万円が5年間は10.5万円になり、合計は約20万円です。
6年目からは減額が終わり、約30.5万円に戻ります。
「固定資産税が上がった」と驚く方が多いのですが、これは増税ではなく軽減の終了です。
2026年度税制改正のポイント
新築住宅の固定資産税の減額措置は、2031年3月31日まで5年間延長されました。
あわせて床面積の要件が原則40㎡以上に緩和されています(従来は50㎡以上)。
一方で、災害の危険性が高い一定のエリアに建つ住宅は対象外になります。
https://www.mlit.go.jp/page/content/001975596.pdf
参考:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
タワーマンションは上の階ほど高くなる
高さ60mを超えるマンション(居住用超高層建築物)には、階数に応じて税額を補正するルールがあります。
2017年1月2日以降に新築された物件が対象で、2018年度分から適用されています。
仕組みはシンプルです。
1階を100として、1階上がるごとに39分の10ずつ加算します。
40階なら110、50階なら約112.6です。
同じ面積の部屋でも、50階の部屋は1階の部屋より約12.6%税額が高くなります。
建物全体の税額の総額は変わらず、配分が変わるだけです。
低層階は従来より安く、高層階は高くなります。
高層階の価格差に比べれば補正の幅は小さく、購入判断を左右するほどではありません。
ただし、高層階を買う場合は、販売資料の税額の目安が中間階の数字になっていないかを確認しておくと安心です。
https://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E5%B9%B3%E6%88%9029%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AB%E4%BF%82%E3%82%8B%E5%9B%BA%E5%AE%9A%E8%B3%87%E7%94%A3%E7%A8%8E/
出口から逆算する:固定資産税は「保有コスト」として利回りに効く
固定資産税は、持っている限り毎年かかります。
年30万円なら、10年で300万円です。
管理費・修繕積立金と合わせた保有コストは、将来の売却益や賃料収入から差し引いて考える必要があります。
評価額は3年ごとに見直されます(評価替え)。
建物は年数がたつほど評価額が下がる一方、地価が上昇しているエリアでは土地の税額がじわじわ上がります。
都心の人気エリアでは、建物の目減りを土地の上昇が打ち消し、税額がほとんど下がらないケースもあります。
保有期間中のコストは横ばいで見積もっておくのが安全です。
結論:購入前に「課税明細書」を見せてもらう
固定資産税の確認ポイント
・中古なら、売主の直近の課税明細書で実額を確認する
・新築なら、6年目以降の税額(軽減なしの金額)で資金計画を組む
・タワマンの高層階は、階層別補正で税額が上がることを織り込む
・管理費・修繕積立金と合わせた保有コストで、出口の手残りを計算する
固定資産税は、交渉でも工夫でも下げられない数少ないコストです。
だからこそ、最初に正確な金額を把握しておく。
それだけで、購入後の「思っていたより高い」はなくなります。

