8,000万円で売れても、8,000万円が手元に残るわけではありません。
住宅ローンの残債を返し、仲介手数料や税金を払った残りが、実際に使えるお金です。
住み替えの頭金や次の資金計画は、この手取りで考える必要があります。
結論から言うと、手取りは「売却価格−ローン残債−売却費用−税金」で計算します。
売却費用は売却価格の3.5〜4%程度が目安で、マイホームなら税金はかからないケースが大半です。
ただし、税金がかかるかどうかは、売る前に必ず計算しておくべきです。
■ 30秒で分かる結論
・手取り=売却価格−ローン残債−売却費用−税金
・売却費用の大半は仲介手数料で、8,000万円なら上限は約271万円
・印紙税、抵当権抹消費用、引越し費用まで含めて、売却価格の3.5〜4%が目安
・マイホームなら3,000万円特別控除で、売却益があっても税金がゼロになることが多い
・管理費や固定資産税の日割り精算、火災保険の解約返戻金など、戻ってくるお金もある
手取りの計算式
手取りは次の式で計算します。
手取りの計算式
・手取り=売却価格−ローン残債−売却費用−税金(+戻ってくるお金)
具体例で計算してみます。
8年前に6,000万円で買ったマンションを8,000万円で売り、住宅ローンの残債が4,500万円ある場合です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 8,000万円 |
| 住宅ローン残債 | −4,500万円 |
| 仲介手数料(上限) | −約271万円 |
| 売買契約書の印紙税 | −3万円 |
| 抵当権抹消費用(登録免許税・司法書士報酬) | −約3万円 |
| 引越し・不用品処分 | −約30万円 |
| 税金(3,000万円特別控除を使う場合) | 0円 |
| 手取りの目安 | 約3,193万円 |
売却価格8,000万円に対して、売却費用は合計で約307万円、売却価格の約3.8%です。
ローンを返したあとに残るのは、約3,193万円になります。
売却にかかる費用の内訳
仲介手数料:売却費用の大半
仲介手数料の上限は、売却価格が400万円を超える場合、売却価格の3%+6万円に消費税を加えた額です。
| 売却価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
|---|---|
| 5,000万円 | 171.6万円 |
| 8,000万円 | 270.6万円 |
| 1億円 | 336.6万円 |
これはあくまで上限で、必ずこの金額になるわけではありません。
ただ、手数料の安さだけで会社を選ぶと、販売活動の質が落ちて売却価格が下がり、結果的に手取りが減ることがあります。
手数料が数十万円安くなっても、売却価格が数百万円下がれば意味がありません。
印紙税:売買契約書に貼る
売買契約書には印紙税がかかります。
2027年3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減措置があり、5,000万円超1億円以下なら3万円、1億円超5億円以下なら6万円です。
抵当権抹消費用:ローンを完済して担保を外す
住宅ローンを完済すると、物件に付いている抵当権を外す登記をします。
登録免許税は不動産1つにつき1,000円で、マンションは建物と敷地で2つになるのが一般的です。
司法書士に依頼する報酬を含めても、数万円程度です。
銀行によっては、ローンの一括返済に手数料がかかる場合があります。
税金:かかるのは売却益が出たときだけ
売却で税金がかかるのは、売却益(譲渡所得)が出たときだけです。
譲渡所得は、売却価格から「取得費」と「譲渡費用」を引いて計算します。
注意すべきは減価償却です。
マイホームでも、建物部分は住んでいた年数に応じて価値が減ったものとして計算します。
鉄筋コンクリート造のマンションなら、建物の購入価格×0.9×0.015×経過年数が減価償却費です。
そのため、買った価格と同じ価格で売っても、計算上は売却益が出ることがあります。
マイホームなら3,000万円特別控除が使える
自分が住んでいた家を売る場合、売却益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。
先ほどの例で、購入時の諸費用を360万円、建物部分の価格を2,400万円とすると、8年分の減価償却費は約259万円で、取得費は約6,100万円です。
譲渡費用約276万円も引くと、売却益は約1,620万円になります。
3,000万円の控除の範囲内なので、税金はかかりません。
ただし、税金がゼロでも確定申告は必要です。
住まなくなってから3年目の年末までに売ること、親族への売却ではないことなどの条件があります。
もう一つ大事な注意点があります。
この特例を使うと、住み替え先の住宅ローン控除が使えなくなる期間があります。
どちらを使うと得かは、売却益の大きさと、次の家の借入額で変わります。
詳しくは不動産売却にかかる税金で解説しています。
戻ってくるお金もある
売却では、出ていくお金だけでなく、戻ってくるお金もあります。
1年分を払っている税金のうち、引渡し日以降の分を買主から受け取るのが一般的です。
引渡し月の分を日割りで精算します。
長期契約で一括払いしている場合、残りの期間に応じて返戻金が出ます。自分から解約手続きをしないと戻りません。
保証料を一括で払っている場合、繰り上げ完済で一部が戻ることがあります。
残債が売却価格を上回る場合
売却価格からローン残債と費用を引いてマイナスになる場合、差額を現金で用意しないと売れません。
抵当権を外すには、ローンを全額返す必要があるからです。
この場合の選択肢は、住み替えは「売却先行」か「購入先行」かでも触れている住み替えローンの利用や、売却時期の見直しになります。
結論:手取りは売り出す前に1円単位で出しておく
手取りの計算は、売却が決まってから慌ててするものではありません。
売り出し価格を決める前に、ローン残債、費用、税金を全部出して、いくらで売れれば次の計画が成り立つかを確認してください。
その金額が、価格交渉で譲れるラインになります。

