住宅ローンを選ぶ際、金利の数字だけを比較していないでしょうか。
ここに見落としがちな点があります。
金利がわずかに低くても、事務手数料や団信の内容によって、総支払額は逆転することがあります。
銀行選びで確認すべきは、金利の低さだけではありません。
借入から完済までにかかる総コストと、団信の保障範囲です。
先に結論を申し上げます。
比較すべきは「金利と事務手数料を含めた総額」と「団信でどこまで保障されるか」の2点です。
そのうえで、ご自身の属性と借り換えのご予定に応じて銀行のタイプを選択します。
以下、順にご説明いたします。
金利ではなく「総返済額」で比べる
金利は重要な要素ですが、それだけでは判断できません。
住宅ローンには、金利以外のコストが必ず発生するためです。
代表的なものが事務手数料です。
借入額の2.2%を設定する銀行が多く、5000万円の借入では110万円に相当します。
一方で、金利の差も軽視できません。
金利1.2%と1.4%では、35年間の利息総額に約200万円の差が生じます。
金利と手数料のどちらか一方だけを見て判断すると、総額で不利な選択をする場合があります。
正しい比較の手順は次のとおりです。
複数の銀行から、同じ借入額・同じ返済期間で試算を取得します。
そして金利だけでなく、事務手数料・保証料・団信の上乗せ金利まで含めた総返済額を並べて比較します。
数字を並べれば、どの銀行が本当に有利かは一目で判断できます。
金利差が小さい場合には手数料の差で順位が入れ替わるため、「金利が最も低い銀行」と「総額が最も低い銀行」は必ずしも一致しません。
事務手数料型と保証料型、どちらが得か
住宅ローンの初期費用には、大きく2つの型があります。
事務手数料型は、借入額の2.2%前後を契約時に一括でお支払いいただく型です。
ネット銀行に多く見られます。
保証料型は、保証会社に支払う保証料を金利に上乗せするか、一括で前払いする型です。
メガバンクや地方銀行に多く見られます。
判断のポイントは、繰上返済や借り換えのご予定があるかどうかです。
保証料を一括で前払いした場合、繰上返済で完済すると、残存期間分の保証料が「戻し保証料」として一部返金されます。
一方、事務手数料型は完済時期にかかわらず返金はありません。
早期完済や借り換えを想定される場合は保証料型が有利になりやすく、完済まで借り続ける場合は事務手数料型のほうが総額を抑えやすくなります。
ご自身の返済方針から逆算してお選びください。
団信で差がつく。金利だけ見ると保障を見落とす
団信は、契約者に万一のことがあった際にローン残債が弁済される保険です。
多くの銀行では、基本の団信は金利に含まれています。
差がつくのは、疾病保障の内容です。
がん団信、8大疾病保障、全疾病保障など、上乗せの保障を用意する銀行が増えています。
上乗せ金利は年0.05%から0.3%程度が相場で、無料で付帯するかどうかに各行の姿勢が表れます。
たとえば、がんと診断された時点で残高が半分になる「がん50%保障団信」を、上乗せなしで付帯できる銀行があります。
残高が全額弁済される「がん100%保障団信」も、上乗せ0.05%から0.15%程度で選択できる銀行が登場しています。
金利水準が同じでも、この保障の有無によって商品の価値は大きく異なります。
健康リスクを保険でどこまでカバーするか。
これはわずかな金利差よりも、はるかに重要な判断ポイントです。
ネット銀行・メガバンク・地銀を使い分ける
銀行のタイプによって、強みと弱みは明確に分かれます。
ネット銀行は、金利が低く、疾病団信も充実している傾向があります。
一方で審査は画一的で、属性面で不利な場合は通りにくく、対面でのサポートも限られます。
メガバンクは、金利面ではネット銀行にやや劣るものの、審査の柔軟性と手続きの安心感があります。
給与振込や資産運用とあわせた優遇も期待できます。
地方銀行や信用金庫は、地域や勤務先との関係により、条件を個別に引き出せる余地があります。
使い分けの基本は次のとおりです。
属性に自信があり、手間を惜しまない方は、ネット銀行で総コストを抑える。
審査にご不安がある方や、対面で進めたい方はメガバンク。
特定のエリアで交渉の余地を探る場合は地方銀行。
ご自身の属性と手間のかけ方に応じて、入口を変えることをお勧めします。
提携ローンは楽だが、最安ではない
新築マンションをご購入の際は、デベロッパー提携のローンを案内されることが一般的です。
提携ローンのメリットは、手続きが速く、審査も通りやすいことです。
書類の手間が減り、決済までスムーズに進みます。
ただし、金利や条件が市場で最も有利とは限りません。
提携という利便性の分が、条件に反映されている場合があります。
賢明な進め方は次のとおりです。
提携ローンで審査を通しつつ、並行してネット銀行など2、3行にもお申し込みください。
条件を並べて、総額が最も低い銀行を選択します。
提携ローンを「基準」として活用し、より良い条件があれば乗り換える。
案内されたまま即決してしまうことが、最も避けたい進め方です。
結論
住宅ローンの銀行選びは、次の手順で進めます。
まず、複数の銀行から同一条件で試算を取得し、金利ではなく総返済額で比較します。
次に、団信の疾病保障を比較し、健康リスクをどこまでカバーできるかを確認します。
そのうえで、ご自身の属性と手間のかけ方から銀行のタイプを選択します。
提携ローンは基準として活用し、より良い条件があれば乗り換えをご検討ください。
わずかな金利差を追う前に、総コストと団信を確認する。
これだけで、35年間で数十万円から百万円単位の差が生じます。
住宅ローンは、選び方そのものが重要な資産形成の判断です。

