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売却編

【売却編】不動産売却の流れを簡単解説

【売却編】不動産売却の流れを簡単解説
この記事の監修者
南 和希
株式会社スピアード 代表取締役
宅地建物取引士 / 2級FP技能士

1999年、神奈川県横浜市生まれ。
新卒で大手不動産会社に入社後、営業部内トップセールスを達成。
3年の実績を経て独立し、株式会社スピアードを設立。
代表プロフィールを見る →

売買仲介・投資用不動産・中古不動産の仕入れ再販・リノベーションなど、不動産業界の幅広い領域で実務経験を持つ。
自身でも不動産の購入を3回、売却を2回、リノベーションを1回経験した実践派。
現在はメディア取材・自社サービスが計6媒体に掲載されている。

購入と同様、売却も単なる住替えにとどまらず、資産における「出口戦略」という重要な選択肢となります。
一見シンプルな「売るだけ」の行為に見えても、実際には購入と同等に慎重な判断と、戦略的な段取りが求められる情報戦です。

何件もの仲介に携わる身として強く感じるのは、売却は購入と違い「急ぐ理由が少ない」ため、意思決定や行動が後手に回りやすいということです。
購入時には熱心に情報収集をされていた方でも、いざ売却に切り替わった途端に「何から始めていいのか分からない」と戸惑うケースが多く見受けられます。

特に買換えを前提としたケースでは、売却と購入を同時進行で進める必要があるため、資金繰りやスケジューリングの難易度が一段と上がります。

このコラムでは、不動産の売却を検討中の方、あるいは買換えを視野に入れている方向けに、売却の全体像と進め方の要点を、実践的な視点で解説していきます。
専門用語はできる限り平易に置き換え、初めての方でも理解しやすく、かつ行動に移しやすい内容を意識しています。

はじめに:売却の全体像を把握しよう

不動産売却の第一歩は、不動産会社への相談から始まります。
「いきなり相談に行く」という事はあまりおすすめしていません。
なぜなら、事前知識がないまま話を聞くと、判断の大半を営業担当に委ねてしまい、自分の資産を"他人の物差し"で扱うことになるからです。

不動産売却の流れ図
相談 → 査定 → 媒介契約 → 売却活動 → 申込・交渉 → 売買契約 → 決済・引渡し → 確定申告
大まかな流れはこのとおりです。

まずやるべきは、「ざっくりとした相場感」を持つこと。
自分の家がざっくりいくらで売れそうか。
その感覚を事前に持っておくだけで、売却活動の精度は格段に高まります。

方法はとてもシンプルです。
SUUMOなどの不動産ポータルサイトを開き、自宅周辺で似た条件(築年数・立地・広さなど)の物件を検索してみてください。
表示されるのは「売出価格」なので、実際の成約価格とは多少のズレがありますが、「市場の中で自分の物件がどのポジションにあるか」は十分に把握できます。

相場感があるかないかで、相談時の立ち位置が変わります。
何も考えずに相談に行くと、営業トークに流されやすくなります。
実際、一部の不動産会社では、根拠もないまま「最近このエリアは相場が下がってきている」といった形で安値を提示、売り煽りを行う担当者も存在します。
最低限の相場感を持っておくことは、自分を守る盾になるのです。


①不動産会社に相談

ある程度の相場感を掴んだら、次のステップは不動産会社への相談です。
ただし、この時点での目的は「正確な査定額を知ること」ではありません。
そもそも不動産が流通する実勢価格には"定価"がありません。
「言い値」で決まり、市場動向や売主様・買主様相互の心理によって大きく上下するのが実態です。

真の目的は「信頼できる担当者に出会うこと」
このフェーズで最も重視すべきは、「この担当者に任せて本当に大丈夫か?」を見極めることです。
誰に売却を依頼するかで、売れるスピードも最終的な価格も大きく変わります。
同じ物件でも、担当者のスタンスや販売戦略によって数百万円もの価格差が生まれることは珍しくありません。

ここで特に意識したいのが、「どの会社に相談するか」より「誰が担当者になるか」という視点です。

「大手だから安心」は幻想
大手不動産会社に依頼すれば間違いないと思われがちですが、実際の成否を左右するのは企業の看板ではなく、担当者の「経験・誠実さ・提案力」です。
多くの不動産会社では誰が担当になるかは運次第。
質問への回答一つをとっても、相手の不安を解消できる担当者と、テンプレートのような返答しかできない担当者では、購入意欲の醸成に天と地ほどの差が生まれます。


②査定額は鵜呑みにしない

不動産会社に相談すると、まず行われるのが物件調査と査定です。
この「査定額」を、そのまま売却価格だと誤解されがちですが、"査定 = 売れる価格"ではありません。

実需向け物件では一般的に「取引事例比較法」という手法が使われます。
周辺の類似物件と照らし合わせながら、市場から反応が得られそうな価格を推測する手法です。
つまり査定額は"売出価格の目安"であって、確定した価値ではありません。

価格の妥当性と同等以上に、その金額に至る根拠や販売戦略まで設計できる担当者かどうかが重要です。
数字だけでなく、その背景を語れる担当者こそ信頼に値します。

■ 査定価格は大きくばらつかない時代へ

近年は特に大規模マンションなど相場の透明性が高まり、複数社に依頼しても極端な差が出ることは少なくなっています。
だからこそ、査定の中身「どんなロジックで算出されたか、どう売っていくか」がより重要です。

一方で、相場より高めの査定額を提示して媒介契約を狙う業者も少なくありません。
こうした"高査定トリック"に乗ってしまうと、販売の初動を誤り「売れ残り物件」という印象が定着するリスクがあります。
その結果、値下げを繰り返す展開に陥り、適正価格に調整しても買い手がつきづらくなるケースも珍しくありません。

※ご自身の意思でチャレンジ価格に挑むこと自体は全く問題ありません。
大切なのは、その選択に納得感があるかどうかです。

■ 査定額は「材料の一つ」にすぎない

このステップで見るべきなのは、単純に「高いor安い」ではなく、その査定に納得できるかどうか。
提示された価格の数字自体よりも、"その背景にある論理"と"担当者の視点"の方がはるかに重要なのです。


③媒介契約 どの契約かより、誰と組むか

このステップでは、以下2点を決断します。

1.どの不動産会社(担当)に任せるか
2.売出価格をいくらに設定するか

不動産業界では囲い込みや情報操作が横行しており、数百万円単位で損をするリスクも現実に存在します。
だからこそ、誠実かつ実力のある担当者を選ぶことが理想です。

なお、適正な価格であれば、物件は基本的に売れていきます。
もしも売れ残っているとすれば、以下の3つのどれかに問題がある可能性が高いです。

・価格設定が適切でない
・営業戦略が機能していない
・担当者が意図的に手を抜いている

■ 媒介契約の3つの種類

媒介契約の種類

・専属専任媒介:1社限定+自己発見取引不可
・専任媒介:1社限定+自己発見取引は可
・一般媒介:複数社に依頼可能(レインズ掲載や定期連絡の義務なし)

専属専任・専任は「1社に任せる契約」、一般媒介は「複数社に同時依頼できる契約」です。
不動産会社側は専属専任・専任を希望して営業をかけてきますが、どれが正解というものはありません。

結論:最終的には「どの契約」よりも「誰に任せるか」が重要です。


④売却活動

媒介契約を締結すると、いよいよ売却活動が本格スタートします。
単に物件をネットに掲載するだけでなく「どう魅せるか」「どう反響に対応するか」という仕掛けをいかに整えるか。
この段階のクオリティも成約価格を左右します。

■ 写真の質で価格が変わる

物件の第一印象を決めるのは、何より写真のクオリティです。
写真の印象=物件の印象と言っても過言ではありません。

理想は、「晴れた日 × プロカメラマン撮影による構図設計」
整理整頓・空間演出を行い、過去の成約事例より数百万円高く売れたケースも珍しくありません。
たった数時間の片付けと撮影で、売却金額が大きく変わるなら、それは最も費用対効果の高い投資です。

モデルルームのような室内イメージ
生活感がなくても構いません。
モデルルームのような"余白ある空間"の方が印象は良くなります。

もし仲介会社が、暗くて歪んだ写真をそのままネット掲載しようとしていたら、その時点で契約を見直すレベルの話です。

■ 販売戦略は初動が大事

販売初期の戦略設計が最も重要です。
「まずはチャレンジ価格」という希望を持つ売主様も多く、一定の条件下では推奨しています。
ただし、問題はその後の動かし方です。

・予め価格改定のタイミングを設定しておく
・掲載情報を定期的に更新し、新着感を維持する
・反響量を分析し、訴求ポイントを見直す

こうした柔軟で計画的な運用が、市場の大量の物件の中で埋もれずに売却する鍵となります。

■ ゴールデンタイムは「最初の1か月」

特に販売開始からの初期1週間はSUUMO上でも新着として強く訴求される重要期間です。
1か月が経過しても明確な反響が得られない場合は「まだ様子を見よう」ではなく、価格・写真・説明文などの再設計を積極的に検討すべきです。

初動で動きが鈍かった物件は、2〜3か月経っても状況が改善しないケースが大半です。
そのまま「売れ残り物件」の印象が定着してしまうリスクがあります。

■ 内覧対応

居住中の場合、内覧対応も重要です。
「いつでも内覧OKです」と案内できる物件は内見件数が増えやすく、成約スピードも早い傾向にあります。

内覧当日の「印象づくり」も大切です。

・カーテンを開けて採光を最大限に
・照明をすべて点灯して明るい空間に
・冷暖房をONにして快適な室温を保つ
・においの対策(換気・消臭)をしておく
・余計な荷物は極力収納し、床と壁の面積を多く見せる

"見られる意識"を持てる売主様は、確実に結果を引き寄せます。


⑤購入申込みから契約へ

内覧が順調に進み、購入申込みが入れば、いよいよ成約が見えてきます。
この段階では指値(価格交渉)が入ることも多いため、他の反響状況・希望する手取り額・引渡しスケジュールを踏まえ、総合的に判断します。

値引き=損失とは限りません。
売却の長期化リスクや住替え時期の兼ね合いなど、"全体の最適化"という視点が大切です。

■ 様々な条件の調整にも着目

契約条件は価格だけではありません。
以下のような項目の食い違いで破談になるケースも少なくありません。

・引渡し時期:短すぎると引越しや新居探しが間に合わない
・手付金の額:少なすぎると、買主様側の自己都合解約リスクが増える
・瑕疵の申告:雨漏り・設備不良など、契約不適合責任が問われる内容は事前説明が必須

■ 先行売却における「引渡し時期設計」の重要性

先行売却(現居を売却→新居を購入という流れ)では、特に現居の引渡し時期設計が重要です。

新居の「契約〜引渡し」には、どれだけスムーズに進んでも最低2か月程度はかかります。
現居の引渡し時期を売却契約時に短く設定してしまうと、新居の入居に間に合わず、仮住まいや荷物の二重移動が発生します。

資金の流れも重要です。
通常、「現居の売却決済 → 新居の購入決済 → 引越し」という順序で進むため、売却側の契約において引渡し猶予期間を設けることが不可欠です。

※資金繰りに余裕がある場合は「先行購入」も有力な選択肢です。
近年は先行融資に柔軟な銀行も増えてきました。

■ 売買契約

諸条件の調整が終わったら、いよいよ売買契約の締結です。
売主様側では下記の書類の確認・記入が必要になります。

不動産売買契約書

・売買契約書(37条書面):価格や引渡し日、違約時の対応などが明記された契約の中核
・物件状況報告書:雨漏り、シロアリ被害や周辺で起こった事件などを申告する重要書類
・設備表:設備の故障不具合、残置物・撤去物を明記する一覧表

特に、故障箇所や過去の修繕履歴については曖昧にせず正確に記載すること。
曖昧な申告は契約不適合責任によるトラブルに発展するリスクがあります。

売主様にとっての契約はまだ中間地点です。
買主様にとっては安堵の瞬間でも、売主様側にとってはここからが本番。
転居準備・引越し・抵当権抹消など、引渡しに向けた実務が一気に動き出します。
売買契約を締結しても、受領するのは手付金のみ。
残代金の大部分は決済が完了するまで支払われません。


⑥決済・引渡しまでの各準備

契約が済んだら、いよいよ引渡しに向けたステップに入ります。
買主様側のローン本審査が通過次第、決済に向けて一気に進むため、今のうちから準備しておくことが重要です。

■ 引越し準備を早めに始める

決済日は動かせない一方で、引越し業者の予約・粗大ゴミの処分などは待ってくれません。

・引越し業者が繁忙期で捕まらない(GW・お盆・年末年始は特に注意)
・不用品の回収予約が取れない(エリアにより粗大ゴミ受付は2〜3週間待ち)

■ ローンが残っている場合

ローン残債がある場合は、決済時に抵当権を抹消する必要があります。
所有権移転にはこの抹消が必須で、段取りミスが起きると決済そのものが延期になります。

金融機関への連絡:繰上げ返済・抵当権抹消の旨を事前に伝達(一般的に決済日の1〜2週間前まで)
必要書類の準備:登記識別情報(権利証)、印鑑証明書(3か月以内)、住民票など
ローン残債の確認:決済日に一括返済する金額を事前に確認


⑦決済・引渡し

残代金を受け取り、物件の所有権が正式に買主様へ移転されます。
当日は、司法書士・買主様・売主様・不動産会社が一堂に会し、売却に関するすべての手続きをその場で完了させます。
準備さえ整っていれば、署名捺印と鍵の引渡し、着金確認で終了です。

残代金の入金が確認できたら、鍵を渡して売却は無事完了となります。
なお、売却益が出た場合は翌年の確定申告(譲渡所得税の申告・特別控除の適用)も忘れずに。


まとめ:売却は自由な未来へのスタートライン

需給バランスを正しく見極め、適切な販売戦略を立てれば、基本的に物件は売れていくものです。
その成功率を大きく左右するのが、信頼できるパートナー(仲介会社)を選べるかどうかです。

不動産の売却とは「固定資産を現金へと転換する行為」でもあり、家計と暮らしに新たな自由度をもたらす重要な意思決定です。
「その後の暮らしをどう再設計するか」を含めた計画立案も、ぜひ並行して考えておきましょう。


株式会社スピアードでは、首都圏を中心に「資産価値重視」の不動産売却・購入サポートを行っています。
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