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売却編

マンションの査定額が会社ごとに違う理由——高い査定に飛びつく前に見る3つの点

マンションの査定額が会社ごとに違う理由——高い査定に飛びつく前に見る3つの点
この記事の監修者
南 和希
株式会社スピアード 代表取締役
宅地建物取引士 / 2級FP技能士

1999年、神奈川県横浜市生まれ。
新卒で大手不動産会社に入社後、営業部内トップセールスを達成。
3年の実績を経て独立し、株式会社スピアードを設立。
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売買仲介・投資用不動産・中古不動産の仕入れ再販・リノベーションなど、不動産業界の幅広い領域で実務経験を持つ。
自身でも不動産の購入を3回、売却を2回、リノベーションを1回経験した実践派。
現在はメディア取材・自社サービスが計6媒体に掲載されている。

複数の不動産会社に査定を頼むと、同じマンションなのに数百万円、ときには1,000万円以上の差が出ます。
売主としては一番高い会社に任せたくなりますが、それが一番高く売ってくれる会社とは限りません。
査定額は「その価格で買い取る約束」ではなく、「その価格で売れるだろうという見立て」にすぎないからです。

結論から言うと、査定額の差の多くは、根拠の差ではなく姿勢の差です。
見るべきは金額そのものではなく、その金額をどの成約事例から、どういう補正で出したかです。

■ 30秒で分かる結論
 ・マンションの査定は、近い条件の成約事例から価格を出す「取引事例比較法」が基本
 ・査定額の差は、どの事例を選び、階数や向きをどう補正したかで生まれる
 ・媒介契約を取るために、根拠の薄い高値を出す会社は今も存在する
 ・見るべきは、成約事例の中身、補正の理由、売れなかったときの価格改定案の3点


マンションの査定は「成約事例」から逆算する

中古マンションの査定で使うのは、ほぼ取引事例比較法です。
同じマンションや近隣の似たマンションで、最近いくらで成約したかを集め、査定する住戸との違いを補正して価格を出します。

補正するのは、主に次のような違いです。

補正する項目価格に効く方向
成約時期市況が上がっていれば上方、下がっていれば下方
所在階高いほど上方。タワーでは眺望の有無で差が大きい
向き・眺望南向き、眺望が抜けている住戸は上方
専有面積広いほど総額は上がるが、坪単価は下がりやすい
室内の状態リフォーム済みは上方、設備が古いままなら下方
間取り使いにくい間取り、和室中心の住戸は下方

この方法の精度を決めるのは、事例の数と近さです。
同じ建物で直近半年に成約が何件もあるタワーマンションなら、査定はかなり正確に出せます。
逆に、成約が数年に1件しかない小規模マンションでは、近隣の別の建物の事例を使うことになり、会社によって見立てがぶれやすくなります。

机上査定と訪問査定の違い

机上査定は、登記情報や図面などの資料だけで出す査定です。
訪問査定は、実際に室内を見て、眺望や室内の状態まで反映させた査定です。
机上査定の段階で各社の数字がそろわないのは当然で、室内を見ていない以上、数%のぶれは避けられません。
売却を具体的に考えているなら、最終的には訪問査定で比較してください。


査定額に差が出る、本当の理由

成約事例と補正のルールが同じなら、プロが出す査定額は本来それほど大きくは変わりません。
それでも数百万円単位の差が出るのは、次の3つの理由です。

1
使っている成約事例が違う

高く出したい会社は、条件の良い住戸の事例や、市況のピーク時の事例を選びがちです。どの事例を使ったかを見れば、査定の性格が分かります。

2
補正が甘い、または辛い

低層階なのに高層階の事例をほぼそのまま使う、北向きの補正をしないなど、補正の甘さは査定額を簡単に押し上げます。

3
媒介契約を取るための価格になっている

相場より高い査定で売主の期待をつかみ、媒介契約を結んでから「反響がないので下げましょう」と言う。業界では昔から使われてきた手法です。

3つ目は、売主にとって最も損が大きいパターンです。
高すぎる価格で売り出した物件は、最初の数週間で反響が取れず、市場で「売れ残り」と見られます。
結果的に、最初から適正な価格で出した場合より安く売ることになるケースが少なくありません。
詳しくは販売価格の決め方と注意点と媒介契約は専任か一般かで書いています。


高い査定に飛びつく前に見る3つの点

査定書を受け取ったら、金額の前に次の3点を確認してください。

1. 根拠にした成約事例が、何件・いつ・どの住戸か

成約時期、所在階、面積、向き、成約価格が具体的に書かれているかを見ます。
「近隣相場から算出」としか書かれていない査定は、根拠を示せないか、示したくない査定です。
売り出し中の物件の価格を根拠にしている場合も注意が必要です。
売り出し価格は売主の希望であり、成約価格ではありません。

2. 事例と自分の住戸の違いを、どう補正したか

事例より階数が低い、向きが悪い、室内が古いといった違いに対して、何%補正したかを聞いてください。
きちんとした会社なら、補正の理由を数字で説明できます。
自分の住戸の弱みを指摘してくれる会社のほうが、売り出し後に価格で揉めることは少なくなります。

3. 売れなかったときに、いつ・いくら下げる想定か

査定額で売れるかどうかは、売り出してみないと分かりません。
だからこそ、反響が少なかった場合に、何週間後にいくらへ改定するかを最初に聞いておきます。
価格改定の計画を最初から示せる会社は、相場の手応えを持っています。
「まずはこの価格で様子を見ましょう」としか言わない会社は、その手応えがないか、媒介契約を取ることが優先になっている可能性があります。


査定額と売り出し価格と成約価格は別物

3つの価格の関係

・査定額:成約事例から見た「この価格なら売れる」という見立て

・売り出し価格:査定額に売主の希望や戦略を乗せて決める、市場に出す価格

・成約価格:実際に買い手と合意した価格。売り出し価格より下がることが多い

首都圏の中古マンションでは、売り出し中の物件の平均価格と、実際に成約した物件の平均価格の間に、毎年大きな開きがあります。
査定額の高さを競っても、成約価格は上がりません。
上がるのは、売り出し価格と、売れ残るリスクです。

結論:査定は「金額」ではなく「根拠」で選ぶ

査定額が一番高い会社ではなく、根拠を一番具体的に説明できた会社に任せてください。
成約事例の中身、補正の理由、価格改定の計画。
この3つを質問して、答えに詰まらない会社が、最終的に一番高く売ってくれる会社です。

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