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購入編 売却編

タワマンは階数・向き・眺望で価格がどれだけ変わるか——中古で「中間」を取る理由

タワマンは階数・向き・眺望で価格がどれだけ変わるか——中古で「中間」を取る理由
この記事の監修者
南 和希
株式会社スピアード 代表取締役
宅地建物取引士 / 2級FP技能士

1999年、神奈川県横浜市生まれ。
新卒で大手不動産会社に入社後、営業部内トップセールスを達成。
3年の実績を経て独立し、株式会社スピアードを設立。
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売買仲介・投資用不動産・中古不動産の仕入れ再販・リノベーションなど、不動産業界の幅広い領域で実務経験を持つ。
自身でも不動産の購入を3回、売却を2回、リノベーションを1回経験した実践派。
現在はメディア取材・自社サービスが計6媒体に掲載されている。

同じタワーマンションの、同じ広さ、同じ間取りでも、階数と向きが違えば価格は大きく変わります。
新築の価格表では、高層階ほど、眺望が良いほど価格が高く設定されています。
問題は、その上乗せが中古になっても残るのか、ということです。

結論から言うと、中古で価格差を生むのは「階数」そのものではなく「眺望が抜けているかどうか」です。
そして、新築時に乗せられた高層階の上乗せは、中古市場では一部しか残らないことが多い。
資産性と割安さのバランスが最も良いのは、眺望が抜け始める中層階から高層階の手前です。

■ 30秒で分かる結論
 ・タワマンの価格差を生むのは、階数より「眺望が抜けているか」
 ・新築時の高層階プレミアムは、中古では一部しか残らないことが多い
 ・向きは南が基本だが、タワーでは北向きでも都心の夜景が見えれば評価が上がる
 ・価格差は一般論ではなく、同じ建物の成約事例を並べて測るのが唯一正確な方法
 ・買うなら眺望が抜け始める中層階、売るなら同じ建物の事例と比べられる前提で価格を決める


新築の価格表は「階数ごとに上げる」前提で作られている

新築タワーマンションの価格表では、同じ間取りの住戸でも、1階上がるごとに価格が少しずつ上がるよう設定されています。
最上階付近のプレミアム住戸になると、中層階の同じ広さの住戸より数割高いことも珍しくありません。

これは、高層階を好む買い手が一定数いることに加えて、売主が全体の利益を最大化するための価格設計でもあります。
中古市場では、この価格表の論理は通用しません。
中古の買い手が払うのは、新築の価格表ではなく、そのときの眺望と住み心地に対する対価だからです。

税金の上の差は、市場の差よりずっと小さい

参考までに、固定資産税にもタワーマンションの階数による補正があります。
2017年度以降に新築された高さ60mを超える居住用の超高層建築物では、中間の階を基準に、1階上がるごとに税額が約0.26%ずつ上がる仕組みです。
40階建てなら、最上階と最下階の差は約10%になります。
市場価格の階数差は、これよりずっと大きいのが一般的です。
固定資産税の仕組みはマンションの固定資産税はいくら?で詳しく書いています。


中古で価格差を生む4つの要素

1
眺望が抜けているか

価格を最も大きく動かすのは、窓の前に建物がなく、遠くまで見渡せるかどうかです。周囲の建物の高さを超えた階から、評価が一段上がります。同じ高層階でも、隣のタワーが正面にある住戸は評価が伸びません。

2
向き

一般のマンションでは南向きが最も評価されます。タワーでは日当たりより眺望が重視され、北向きでも都心の夜景や富士山が見える住戸は、南向きに近い評価を受けることがあります。西向きは夏の西日で敬遠されやすい傾向があります。

3
角部屋かどうか

2面に窓がある角部屋は、眺望と採光の両方で評価が上がります。中住戸より坪単価が高く成約するのが一般的です。

4
専有面積

広い住戸ほど総額は上がりますが、坪単価は下がりやすくなります。総額が上がるほど買える人が減るためです。


価格差は、同じ建物の成約事例で測る

「1階上がるごとに何%上がる」といった一般論は、建物によってまったく違います。
周囲に高い建物がないタワーと、タワーが林立するエリアのタワーでは、眺望が抜ける階が違うからです。

価格差を正確に知る方法は一つしかありません。
同じ建物の成約事例を集めて、階数帯と向きごとに坪単価を並べることです。

ある建物の成約事例の整理(試算例・数値は仮のもの)件数平均坪単価
10階未満・眺望なし4件480万円
10〜19階・眺望一部6件520万円
20〜29階・眺望が抜け始める7件560万円
30〜39階・眺望良好5件590万円
40階以上・プレミアム住戸2件630万円

この表は、仕組みを説明するための仮の数値です。
実際に整理すると、眺望が抜ける階を境に坪単価が一段上がり、その先の高層階では上がり方が緩やかになる形がよく見られます。
一方で、新築時の価格表では高層階ほど上がり方が急になっていることが多い。
このずれが、中古で高層階を買うと割高になりやすく、中層階を買うと割安になりやすい理由です。


買う人は「中間」を取る

資産性を考えて買うなら、狙うのは眺望が抜け始める階から、高層階の手前です。
理由は2つあります。

1つ目は、出口で買い手が最も多い価格帯だからです。
最上階付近は総額が大きく、買える人が限られます。
売るときに買い手が少ないことは、そのまま価格交渉の弱さになります。

2つ目は、新築時のプレミアムが剥がれる損を受けにくいからです。
高層階に払った上乗せは、中古で売るときに一部しか戻ってきません。
頭と尻尾はくれてやる、という考え方は、タワーマンションの階数選びにもそのまま当てはまります。

売る人は「比べられる前提」で価格を決める

タワーマンションの売却は、同じ建物の中に必ず比較対象があります。
買い手は、同じ時期に売りに出ている別の住戸や、直近の成約事例と必ず比べます。
自分の住戸が、それらと比べて階数・向き・眺望・室内の状態で上か下かを冷静に見て、価格を決めることが大切です。
同じ建物で条件の近い住戸が先に売りに出ているなら、その住戸より先に決まる価格にするか、売れてから出すか、という判断も必要になります。
売り出し価格の考え方は売り出し価格の決め方にまとめています。

結論:階数ではなく眺望に払う

タワマンの階数・向きの考え方

・価格差を生むのは眺望。周囲の建物を超える階から評価が上がる

・新築の高層階プレミアムは、中古では一部しか残らないことが多い

・価格差は、同じ建物の成約事例を階数帯と向きで並べて測る

・買うなら中層から高層の手前、売るなら同じ建物の住戸と比べられる前提で

高層階が悪いわけではありません。
眺望に価値を感じ、長く住むなら、高層階を選ぶ理由は十分にあります。
ただ、出口を考えて買うなら、何に対していくら払っているのかを、事例の数字で確認してから決めてください。

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