築15〜20年の中古マンションは、中古市場で流通が多い年代です。
新築より価格がこなれ、1回目の大規模修繕も済んでいて、建物の弱点もある程度見えています。
資産性と割安さのバランスでは、狙い目の年代と言えます。
ただし、この年代のマンションには、これから向き合う大きな課題があります。
2回目の大規模修繕です。
結論から言うと、2回目は1回目より費用がかさむのが一般的で、その資金が計画どおりに積み立てられているかで、買ってよい建物と避けるべき建物が分かれます。
■ 30秒で分かる結論
・大規模修繕はおおむね12〜15年周期。築15〜20年なら1回目が終わり、2回目に向けた時期
・2回目は外壁や防水に加え、給排水管やエレベーター、機械式駐車場など設備の更新が重なりやすい
・小規模なマンションほど1戸あたりの負担が重く、タワーマンションは工法の関係で割高になる
・見るべきは、長期修繕計画の見直し時期、積立金の残高と計画の比較、値上げや一時金の予定
・資料で確認できない建物は、価格が安くても将来の負担が読めない
大規模修繕の周期と、2回目が重くなる理由
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、長期修繕計画の期間を30年以上とし、その中に大規模修繕を2回以上含めることを求めています。
外壁の塗装や屋上の防水といった工事の周期は、おおむね12〜15年が目安です。
築15〜20年のマンションは、1回目の大規模修繕を終え、2回目に向けて資金を積み立てている段階にあります。
2回目が1回目より重くなりやすいのは、建物本体の修繕に加えて、設備の更新時期が重なるからです。
| 主な工事 | 更新・修繕の時期の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 外壁・屋上防水の修繕 | 12〜15年ごと | 足場の費用が大きい。2回目は下地の補修が増えやすい |
| 給排水管の更新 | 30年前後から | 専有部分との取り合いがあり、工事が長期化しやすい |
| エレベーターの取替 | 30年前後 | 1基あたりの費用が大きく、基数が少ない建物では負担が集中する |
| 機械式駐車場の取替 | 20年前後 | 空き区画が多いと、取替より撤去・平面化を検討することもある |
1回目の大規模修繕は、新築時の分譲会社が設定した計画どおりに進むことが多い一方で、2回目は管理組合が自分たちで資金と工事内容を決める段階に入ります。
ここで管理組合の運営力の差が、はっきり表に出ます。
建物の規模で、負担の重さは変わる
修繕費は、建物の規模によって1戸あたりの負担が大きく変わります。
国土交通省の修繕積立金に関するガイドラインでは、20階未満の建物の場合、延床面積5,000㎡未満の小規模な建物の平均が月335円/㎡、2万㎡以上の大規模な建物の平均が月255円/㎡となっています。
規模が小さいほど、エレベーターや外壁の工事費を少ない戸数で割ることになるため、1戸あたりの負担は重くなります。
タワーマンションは、20階以上の建物の平均が月338円/㎡で、規模の大きさによる割安さがあっても、ゴンドラや特殊な足場が必要な分だけ割高になります。
タワーについてはタワマンは買ってはいけないのかで詳しく検証しています。
| 建物の種類 | 1戸あたりの負担の傾向 | 見るべき点 |
|---|---|---|
| 小規模(延床5,000㎡未満) | 重くなりやすい | 一時金や借入の履歴、エレベーターの基数 |
| 大規模(延床2万㎡以上) | 分散されて軽くなりやすい | 機械式駐車場の台数と稼働率、共用施設の維持費 |
| タワーマンション | 工法の関係で割高 | 外壁・防水工事の方式と、2回目の見積りの有無 |
購入前に確認する4つの資料
築年数の経ったマンションを買うときは、室内以上に、管理組合の資料を見てください。
仲介会社を通じて取り寄せられるものがほとんどです。
いつ作られ、いつ見直されたかを確認します。ガイドラインでは5年程度ごとの見直しが推奨されています。最後の見直しから5年以上経っている計画は、工事費の上昇が反映されていない可能性があります。
計画上、いまの時点でいくら積み立っているはずかと、実際の残高を比べます。残高が計画を下回っていれば、将来の値上げか一時金が避けられません。
段階的に値上げしていく計画になっていないか、次の値上げがいつ、いくらかを確認します。購入後すぐに大幅な値上げがあれば、毎月の負担が想定を超えます。
直近2〜3年分を読みます。修繕工事の議論、積立金の不足、一時金や借入の検討、設備の不具合など、計画書には出てこない実情が書かれています。
資料の読み方は修繕積立金で分かる、危険なマンションの見分け方と管理費・修繕積立金の正しい見方でも書いています。
避けるべき建物、買ってよい建物
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 計画が直近で見直され、残高も計画どおり | 買ってよい。2回目の修繕も資金の裏付けがある |
| 計画どおりだが、段階的な値上げが控えている | 値上げ後の毎月の負担で家計が回るなら可 |
| 残高が計画を大きく下回り、議事録で一時金や借入が議論されている | 避けるか、その負担を価格交渉に織り込む |
| 計画が古いまま、見直しの議論もない | 避ける。将来の負担が読めない |
積立金の不足は、売るときにも響きます。
買い手やその仲介会社も同じ資料を見るため、積立金の不足や大幅な値上げ予定がある建物は、価格交渉で不利になります。
今の負担の軽さより、10年後に売るときにどう見られるかで判断してください。
修繕が終わった直後の住戸は割安とは限らない
大規模修繕の直後は外観がきれいになり、売り出しの見栄えが良くなります。
一方で、修繕で積立金を大きく使った直後は、残高が一時的に少なくなり、次の修繕に向けて値上げが検討されやすい時期でもあります。
工事が済んだかどうかではなく、工事のあとに資金計画が成り立っているかを見るべきです。
結論:築年数ではなく、管理組合の財布で選ぶ
築15〜20年のマンションを買う前の確認事項
・長期修繕計画は5年以内に見直されているか
・積立金の残高は計画どおりか
・次の値上げと一時金の予定はあるか
・議事録に、資金不足や設備の不具合の議論がないか
・建物の規模に対して、積立金の水準に無理がないか
築年数が同じマンションでも、管理組合の資金計画によって、10年後の価格は大きく変わります。
室内のきれいさや眺望を見る前に、その建物の財布の中身を確認してください。

